ヌマンタの書斎

読書日記から始めたブログですが、今は雑記帳になっています。

2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「BANANA FISH」 吉田秋生

私はリーダーシップに乏しい。 人望がないわけではないと思う。十代の頃から、幹事役やら、金勘定を任させることが多く、それなりに信頼を得ていたとは思う。自分でも公平な性格だと思うし、またそうありたいとも思っている。 しかし、リーダーには向いてな…

「2001年宇宙の旅」 アーサー・C・クラーク

何故、人間はかくも矛盾した存在なのだろう。 風光明媚な自然の風景に感動する一方で、その自然をいとも容易に破壊する。愛する人を大切に想う一方で、嫉妬に狂い憎悪をたぎらせる。穏やかな平和に安らぎを感じて、このまま続く事を願う一方で、戦いに血をた…

介護保険の地域格差と故郷納税

にわかに話題に上がってきたのが、住民税の故郷(ふるさと)納税制度だ。 率直に言って寄付だと思うが、一理あるとも感じている。ちなみに現行税法でも、地方自治体に対する寄付は全額控除の対象だが、所得控除の一つに過ぎない。自民党は税額控除方式を考え…

「なぜ漫画の原稿料は安いのか」 竹熊健太郎

最近の私の悩みは、本の置き場所に窮していることだ。 既にレンタル倉庫は活用済み。ダンボール20箱分の本が、倉庫のどこかに眠っている。だいぶ、すっきりしたと安堵していたら、何時の間にやら本棚はいっぱいで、床に本が積み重なっている。 表題の本を…

「紅蓮の女王」 黒岩重吾

正しさとは、なんなのだろうと悩むことがある。 私は歴史が好きだ。今の自分があるのは、過去の積み重ねがあるからだ。今の日本がこうあるのは、過去の事実の積み重ねがあるからだ。過去を知ることで、今をより深く知ることが出来る。 過去の失敗を学ぶこと…

「私本太平記」 吉川英治

子供の頃から、私は妙に会社員に憧れを持っていた。公務員に憧れたことはない、あくまで会社員でなくてはいけなかった。 はっきりと断言は出来ないが、それは父親のせいだと思う。幼い頃、離別した父は、仕事第一の会社人間だったと聞かされていた。それが母…

「日本に異議あり」 佐高 信

男は度胸。 子供の頃からよく聞かされた言葉だ。言いたいことは分かるが、今は度胸ではなく度量ではないかと思っている。別に男に限らないが、人としての魅力には、器の大きさがあると思う。 学校でも会社でもそうだが、自然と人が周囲に集まる人がいる。話…

首切り自主事件に思うこと

嫌な事件だと思う。自分の母親を惨殺して首を切り取り、ネットカフェに立ち寄ってから、警察に自主したという。 精神に異常をきたしているとしか言うようがない。たしか社会心理学の言葉で境界線上の異常者と評していた気がする。一見して健常者に見え、行動…

「サハラに舞う羽根」 A・E・W・メースン

私は冒険小説が好きだ。でも、いつの頃からだろう、冒険小説には活劇(アクション)の場面が増えてしまった。格闘の場面であったり、自然災害の場面であったりして、いかにも冒険といった雰囲気をかもし出す。 別に間違いではないが、どうもハリウッドの映画…

朝青龍のしごき

以前から気になっていた。 場所前の稽古で、横綱朝青龍が若手を怪我させたと非難している報道があった。将来強くなりそうな若手を、横綱が厳しく鍛え上げるのは、角界の慣例だったはずだ。怪我させるほどの稽古は、稽古ではないとの論調もある。しかし、いか…

「汚れた英雄」 大藪春彦

現在、世界のオートバイ市場は、日本のメーカー4社(ホンダ・ヤマハ・川崎・スズキ)でほぼ7割近くを占めてしまっている。海外勢で大手といえるのはドイツのBMWと、アメリカのハーレーダビッドソン社だけだ。後はヨーロッパの中小メーカーが残っている…

憂鬱な五月

22年前だった。GW中に三つ峠に行き、フリークライミングの練習をしていた時のことだ。一緒に来た後輩から「足がゾウさんですね」と言われたのがきっかけだった。たしかに、足が太くなっていた。 元来、足は太い。ふくらはぎなんぞ、子持ちシシャモ並みに…

「羊たちの沈黙」 トマス・ハリス

順番が合い前後するが、レクター博士の怪しい魅力に負けて、先に「ハンニバル」を書いてしまたった。でも、ミステリーとしては「羊たちの沈黙」のほうが上だと思う。初めて読んだ時は、夢中になって、気が付いたら朝を迎えていたほどだ。 映画も面白かったが…

「ハンニバル」 トマス・ハリス

偶然の産物だったのではないだろうか? 希代のダーティーヒーロー、ハンニバル・レクター博士は、20世紀を代表する悪役の一人だと考えている。高度な知性と教養、それに相反するおぞましき人食嗜好。人間の皮を被った悪魔呼ばわりされる一方、レクターこそ…

「ももいろシスターズ」 ももせたまみ

私には妹が二人いる。はっきり言って、困った奴らである。美人ではないと思うが、男あしらいが上手いというか、ズルイ。上の妹に言わせると、頑固なお兄ちゃんに苦労したからだと生意気を口にする。 姉妹同士で、あるいは女友達と、よくお喋りをしていた。そ…

「極大射程」 スティーブン・ハンター

特にあてもなく銀座の町をブラブラ歩いていたら、映画の広告があった。「ザ・シューター」とある。おや?と思い、よくよく見てみると数年前に翻訳されてヒットしたS・ハンターの「極大射程」の映画化だった。ベトナム帰りの名スナイパー(狙撃手)であるボ…

高野連に思うこと

昔から嫌いだったのが、高校野球連盟だ。通称「高野連」である。 かつて江川卓という剛速球を投げるピッチャーがいた。作新学園という高校のエースで、甲子園にも何度か出場している。高校から法政、そして一年間のハワイ留学を経てプロ野球入りを果たした。…

二人の中村

少し旧聞になるが、スコットランド・リーグは中村俊輔を擁するセルティックが優勝を遂げた。俊輔は、選手投票でも、記者投票でもMVPを獲得。プレミアやセリエAと比べると格落ちのリーグだが、それでも遠く欧州の地で活躍し、それが高く評価されているの…

「ブレーメンⅡ」 川原泉

SF版ドリトル先生、航海記とでも称したら良いのか。 人類が宇宙に飛び出して300年。しかし、広大な宇宙に互いに理解しあえる異星人と出会えることはなかった。寂しかった人類は、同じ地球の動物たちを改良して、二足歩行と会話を可能にした「働く動物た…

「逆説の日本史」 井沢元彦

暇に任せてTVを観ていたら、憲法改正に関する特集をやっていた。そのなかで、土井・元社民党党首が出ていて、「戦後60年の平和は、憲法9条のおかげです」などと、真面目腐って述べていた。 筋金入りのアホや。 戦争という雨が降らないのは、テルテル坊…

「大空のサムライ」 坂井三郎

前回、ゼロ戦の名パイロット、坂井三郎氏を中途半端に取り上げてしまったので、表題の本を改めて紹介したいと思います。 坂井氏は、案外と日本よりも欧米の方が知名度が高いかもしれません。この本は刊行された当初から英訳され、海外で長期にわたり売れ続け…

ゼロ戦の評価

のんびりCS放送のディスカバリー・チャンネルを観ていたら、面白い企画をやっていた。近代から現代までの戦闘機のベスト・テンだった。 第一位に挙げられたのは第二次世界大戦中の名機ムスタングP51だった。納得の一位だ。でも、ムスタングはアメリカで…

「山月記」 中島 敦

今なら分る。痛いほどに、吐き気がするほどによく分かる。虎になった李徴の気持ちがだ。 初めて読んだ頃は、巷に流布する怪談や伝説の類だと思って読んでいた。三国志以来、中国ものにはまってしまったので、「史記」や「金瓶梅」「柳斎志異」などを好んで読…

「印度放浪」 藤原新也

もしかしたらインドへは、一生行く事はないかもしれない。 この本も入院中に読んだ。当時は免疫力が健常者の6割程度しかなく、感染症にきわめて弱く、些細なことで風邪を引き、それが肺炎に移行する可能性があり、ほとんど病棟から出れなかった。 だから優…

「新・檀流クッキング」 檀 太郎

私は気に入った本は、何度も繰り返し読む癖がある。一番多く読み返したのは、吉川英治の「三国志」だと思う。多分20回以上読み返している。次点が田中芳樹の「銀英伝」ではないか? よくよく考えてみたら、もっと多く読み返した本があった。それが表題の本…

「哀しい予感」 吉本ばなな

私はあまり勘のいいほうではないと思う。それなのに、哀しい予感だけは何故かよく当たる。 あれは10年くらい前の、ゴールデンウィーク明けの月曜日だった。一気に集中する電話や、たまっている仕事に追われ、少々疲れ気味で帰宅すると、ポストの中から一通…